2007年11月6日火曜日

神も喜ぶ、彼らも喜んでいる。お前も喜べ!

 はじめに

( この「精神世界の旅」は現在進行形の話ではなく、
 過去の体験を思い出すままに書いているものです )


 ネパールの聖峰アンナプルナ(豊穣の女神)トレッキングを終えて、Pokhara から次の目的地、ヒンドゥーの聖地ベナレス(バラナシ)に移動するバスで、私は旅行ザックを盗まれてしまった。

 その経緯は別な機会に書きたい。

 バラナシのコダイキチョウキという地区の宿に落ち着いた私は、翌日地元の警察に被害届を出しに行った。AIUの旅行保険に入っていたので、調書を作成してもらうためであった。

 署長はがさつだが(現地では普通なのだろう)、意外に親切だった。

 私は事の顛末を述べ、彼が盗難証明書を書いた。

 時々、私がスペルのミスを指摘したために、部下の手前もあってか…
 「お前が、自分で書け!」と、
 書きかけの書類を私に突きだした。

 それをいいことに、私は盗難品のカメラを
 スナップカメラではなく、ニコンの最高級品として書き込んだ。

 保険の規定で、1万円以下のものは保証外という足きりがあったので、
 損失の半分も戻ってこない事を知っていたために、
 旅費不足を来さないように偽装したのであった。

 書類を書き終えると、署長はイモ判のように字がつぶれて読めない検印を押してくれた。

 そして、私にヒンドゥー的訓辞をたれた…

 「ジャパニ、お前はインドを旅行するだけの余裕がある。
 日本人は我々と比べて、金持ちだ。

 旅行バッグを盗まれたのは気の毒だが…

 もう、戻っては来ない。しかし、

 それで、泥棒たちの家族が養えることになる。

 彼らは、みんな喜んでいるだろう。

 神も喜ぶ。

 だから、

 お前も喜べ!

 ここはインドなんだ…」


 バッグには、カメラや電気カミソリなどの文明の利器が入っていた。

 ヒンドゥー教徒の終焉の聖地とされるベナレスに入るに際して、
 私は裸一貫状態でたどり着いた。

 あたかも、大多数のヒンドゥーたちが裸一貫、ショールと水瓶だけで
 この地を目指すように。

 その後、ベナレスでずるずると1年以上生活していく中で、
 彼の言葉が受け入れられるようになっていった。

 

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